coffeebreak15’s blog

今までの経験や学んだことなど、思ったことを書いていき残したいと思います。

大企業の人事部管理職が思う「ブラック企業」の見分け方ーーー「管理職」の求人票

1.はじめに
 仕事がら、他社の求人票を見ることがあり、最近じっくりと見ました。
 
 また、ここ数年話題の未払い残業、安い賃金での労働などとも関係することです。
 
 それは、大手人材紹介会社の、とある中堅企業の求人票に「管理職募集」とあり、賃金が月30万円、備考欄に管理職のため残業手当なし、と書いてありました。
 予定年収は、諸手当込みで500万円前後とありました。
 
 何かおかしいと思いません?
 
 今回はこの点に突っ込みたいと思います。
 
2.労働基準法
 労働基準法41条2号で、「管理監督者」が記載されており、労働時間、休憩、休日の適用を除外されています。(詳しくは、社労士さんのサイトでどうぞ)
 
 うちの採用グループに来る大手人材紹介会社の営業担当に声をかけ聞いたり、私の場合は労基署に良くいくので労基署の労基官に直接聞いたりしたのですが
 社内での「管理職」と労基法上の「管理監督者」の違いを
 知らない人が、勘違いして転職して失敗しているようです。
 
 うちの会社は、「管理職」=「管理監督者」です。
 「監督者」=労基法上の(一般)労働者で労働時間、休憩、休日の規定は、適用されます。
 
 つまり、上記の求人票を出した会社は、「管理職」=「管理監督者」として求人を出しているということです。
 

3.賃金面
 
 賃金設計は、管理職の最低ランクが、監督職の最高ランク+フル残業(36協定の限界)をしても、絶対超えない金額に設定します。
 
  そうしないと、部下の監督職が上司の管理職の賃金をある月に抜いてしまうことになってしまい、管理職全体のモラールダウンになるからです。
 
  この点は、人事の賃金制度の大改革が流行ったバブル崩壊後に、
 ある大企業がミスして話題になりましたよね。
 
 なんで管理職が部下に賃金抜かれるんだ?って。
 
  だからうちの賃金規定を改定する際も、36協定限界まで残業・深夜・休日出勤しても絶対監督職が管理職を賃金で抜けない設計です。
  そのため、監督職から管理職の昇進すると一気に賃金が上がります。
  会社としては一気に賃金が上がり、固定費となるので、権限を大幅に委譲し責任を持たせました。特に、人事権です。
 
  賃金に戻りますが、求人を出していた会社は、絶対部下の監督職が上司の管理職を抜くと思います。人事担当者の力量不足なのか、監督職以下に未払い残業をさせて超えないようにしているのか、疑問です。
 
 労基署で顔見知りとなった労基官は、おそらくその求人票を出している会社は後者で、そんな会社から労働者が未払い残業代の相談にくるとのことでした。

 また、管理職も深夜手当が付いていないと相談に来ると言っていました。
 
ここ十数年、これだけ話題になっているのに、
 まだそんな賃金設計をしているとは、
 まさしく「ブラック企業」ですよね。
 

4.管理職と部下の賃金関係
 賃金関係を概算で計算してみますと、月22日出勤で、1日8時間だと、月の労働時間は、176時間となりますよね。
  それに時給をかけてみると、
 176時間×900円 =158,400円
      1,000円=176,000円→高卒の初任給 
      1,100円=193,600円→大卒の初任給
      1,200円=211,200円→大卒・院卒の初任給
      1,400円=246,400円★部下
      1,700円=299,200円
      1,800円=316,800円★上司
 上司の管理職として転職した場合、賃金は求人票によると30万円
 ★上司あたりですかね。
 ★部下が、36協定により45時間働いたとすると、残業代は、単純計算で
  1,400円×1.25倍×45時間=78,750円
  246,400円+78,750円=325,150円
  

 この金額って、★上司を抜いてますよ。
 
 
 
 うちは残業少ないし、という言い訳をする人事担当がいるみたいですが、それなら36協定書き直せばいいんじゃないんですか。

 最大ここまで残業する可能性があるから、36協定を出しているんですから、その言い訳はどうかと思います。
 
 応募者を面接時に納得させられます?
 
 
 さらに、★上司は、いい加減な人事担当のせいなのか、残業代も付かないので踏んだり蹴ったりですよね。
 
 時給1700から1800円で、間違って「管理監督者」扱いされ、残業代が出ない。
(⇒ブラック企業、このご時世、こんなインチキで転職者を騙そうとする姑息な会社が求人を出してます) 

  あなたが人事担当になって、賃金規定を見直すべきです。
 

5.管理監督者のモデル賃金
  我社でもシンクタンクに依頼して、相場を調べてもらっています。
  もらった資料では、管理監督者のモデル賃金として、
 
  給料60万円+賞与4か月(夏2か月、冬2か月)+会社の業績配分
 
  とありました。
 
  つまり、60万円×16か月+成果配分=960万円+αです。
 
  この金額なら、会社業績で夢の年収1000万円越えもあるため、
 管理職に魅力がありますよね。
 
  例えば、監督者の最上級が月316,800円の場合で、残業45時間、
 休日出勤4日(32時間)とすると
  316,800円=1,800円×176時間
  1,800円×1.25倍×(残業45時間+休出32時間)=173,250円
  316,800円+173,250円=490,050円となり、上司の管理職の
 給与60万円を抜きません。

  上司も部下も納得する設計ですよね。これが50万円だと深夜手当、
 ○○手当で50万円を超えてしまうことが規定改定後などにあるんです。
  だから、規定上・理屈上絶対超えないように設計するんです。
 
 こういうことを勉強していないのか、知ってて悪さしているのか、
 よくわかりませんが、求人票を見ているとおかしい給与設計を
 見かけます。
 
 給与設計は、社員の生活の糧になっているんですから、具体的に
 各種規定や過去の賃金支払い実績を調べて、設計すべきです。
 
 姑息な賃金設計では、上司・管理職のモラルが下がり、業績向上が望めませんよ。
 
VER.2