1.はじめに
私が、気になっていたことです。
犯罪って、どういうことか。子供のころ、人のものを盗むと
警察に捕まるよ、と親に教えられますよね。
信号無視をしても。人を車で引いても。
数年前に、取引業者の社員が、営業車で人をひいて病院に
運ばれたそうです。相手は大けがを負ったそうです。
業務上過失致傷?
この会社の社長は、裁判が確定する前、警察に捕まった段階で
「解雇」したようです。
これって、どういう世の中の仕組みなんだろう、という疑問です。
★この記事は、法律の素人が弁護士の先生や法学部卒の社員に
聞いた豆知識です。
専門的なことは、弁護士の先生などプロに聞いて下さい。
2.犯罪となることは書いてある(罪刑法定主義)
犯罪は、分かり易く言うと、例えば、
刑法という法律に、載っている条文にあてはまること、です。
刑法199条には、「人を殺した者は、死刑又は無期若しくは
5年以上の懲役に処する」と書いてあります。
この条文にあてはまるから、警察に捕まります。
いまだにニュースに出る残業代の未払いは、労働基準法24条
違反で労働基準法120条1号により30万円以下の罰金となると
書いてあります。
このように、法律や条例などに何をすると罰せられるのか
書いてあるのです。
弁護士の先生に、法律だけで日本に3000「本」あると
お聞きしたので、素人が知らない条文はあって当たり前ですよね。
だから、法律家という職業がある。
*法律は、数えるとき「本」というらしいです。
3.犯罪成立要件
では、犯罪はどうなると成立するんでしょうか?
正当防衛だ!とか言って逃れようとする人もいますよね。
犯罪となるのは、次の3つがポイントです。
まず、①自分のしたことが、法律などの条文に当てはまること。
犯罪の「構成要件」に該当する、と言います。犯罪を構成する要件で、殺人は、「人を殺した」という要件です。
「人」なので、死体は含まれません。死体を「殺せません」よね。もう死んでますから。
死体を損壊するということで、死体損壊罪なるものに該当します(刑法190条)。
しかしまだ先があります。
というのは、次に②正当防衛(刑法36条)など「違法性」を否定する理由があるかどうかの判断です。
さらに、③犯行時点に「責任」があったかどうか、という点です(参照:刑法39条)。この「責任」は、自己責任の原則からなかなか認められないようです。
この3つの要件を満たすと、効果として、懲役などの刑罰が科される、ことになります。
この3つのポイントを法律上判断するのが、「裁判官」です。
思考の流れを整理すると、
ある人の行動が、刑法などの法律の条文に該当するか
(①構成要件に該当する)
↓該当する
違法性を否定できるか(②違法性がある)
↓できない
犯行当時、責任が認められるか(③責任がある)
↓認められる
犯罪成立
という流れです。
犯罪が成立すれば、後は裁判官がどの刑罰にするか、条文に書いてある範囲で過去の例を参考に判断します。
4.警察と検察、そして裁判所
子どものころ、警察に捕まっただけで「犯罪者」と言ってましたが、正確には違いますよね。
大人になれば、裁判所の存在も知ってますから。
つまり、犯罪を起こせば、例えば誰かを殺せば、警察に捕まります。
この段階では、「被疑者」です。(参考:刑事訴訟法39条) ×容疑者
*容疑者は、マスコミ用語です。注意しましょう。
事実関係を調査し被疑者を確保しておくのが「警察」
警察が調べたことを法律に当てはめて裁判にすべきか決めるのが「検察官」
そして、裁判になったら検察官と被告人(×被告)・弁護士の話を聞き、この犯行は、この法律のこの条文に当てはまり、違法性も否定されないし、責任も犯行当時あったと「裁判官」が判断すれば、初めて有罪判決が出て「犯罪者」となります。
*「被告」もマスコミ用語です。法律で「被告」は、民事事件だそうです(参考:民事訴訟法138条)。損害賠償などの民事裁判では、「原告」「被告」といますよね。
マスコミ用語に、注意しましょう。
会社で警察に捕まっただけで、犯罪者扱いされて、解雇という話があるようですが、警察では犯罪者と決めることはできません。知り合いや身近な人が警察に捕まっても裁判所が判断するまで犯罪者のような扱いはやめた方がいいと思います。(最初の取引先の社長の例)
そんな事実はなかったと何事もなく警察から帰ってくることがあるので、その人と気まずくなり人間関係が崩壊しますよ。
マスコミが「警察に捕まる=犯罪者」という間違った風潮を作った感があるので冷静に対応しましょう。
捕まっただけでは、「犯罪者」ではありません。裁判所=裁判官が判断するのです。
(雑談)
裁判傍聴に弁護士さんと行ったことがありますが、裁判所は
「法廷」と言うそうです。私みたいな会社員が使う「会議室」?みたいなものですかね。