coffeebreak15’s blog

今までの経験や学んだことなど、思ったことを書いていき残したいと思います。

小規模企業の残念な社長---従業員が可哀想です

1.話の背景
 私は仕事上、数多くの企業の社長とお会いします。
 つまり、取引先や仕入れ先、新規営業してくる方です。
 その中でも従業員数十名の小規模企業の社長の話です。
 対照的な二人の社長のエピソードをもとに話を進めていきたいと
 思います。
 
 私がお会いする小規模企業の社長は、自身が営業し仕事を取るスタイルが大半です。
 取ってきた仕事を社内の従業員に手分けして、完結させるという流れのようです。
 私は人事部のため、営業などの話は置いておいて、人事関係の話を
 したいと思います。
 
2.2つの代表的なエピソード
 1つ目は、私の勤める大企業の仕事の流れや人材育成、賃金水準など積極的に取り込もうとして質問してくる社長です。
 そのような社長には、社内情報の漏洩にならない範囲で教えています。
 もちろん取引関係に入ってからですが・・・。
 
 その社長の会社も社内に人事担当は置いているようですが、やはり
 大企業と情報量が違います。うちですと国会議員や厚生労働省・労基署でも何かと情報源は持っています。しかし、小規模企業となると、せいぜい社労士さん頼みみたいで、その社労士さんのネットワークがどれだけ広いかによるようです。
 長い付き合いになると、人事制度など最先端の取り組みを検討して
 いる話をして、お互い刺激を受ける間柄になります。
 
 もう一つは、よく言う「うちは零細企業ですから・・・・」という
 残念な発言をして聞き流す社長です。
 確かに小規模会社ですから社長=株主=全責任者のため、自分がすべてというのは、わかります。
 しかし、あなたが都合の悪いことは耳をふさぐせいで、あなたの会社の従業員から「うちは、ブラック企業です」と冗談とも言えない発言が出ているんです。
 (さすがにそんなことは、その社長に言えませんけどね)
 
3.話を聞こうともしない残念な社長
 先ほど述べたように、全責任は自分にあり、「私の会社」という意識で必死に営業していることは、長い付き合いで分かっています。
 しかし、今の世の中、限度を超えれば、犯罪であり、取引停止となります。
 うちもコンプライアンスには厳しいので、取引できなくなり、仕事を廻してあげられなくなります。長い付き合いで短納期でも必死にこなしてくれるので、ありがたいと思っているんです。
 (もちろんうちも特急料金など払ってますよ。あそこは中小企業イジメと言われても困るので、特急なんかは相手の言い値で払ってますよ)
 
 働き方改革の話や、有給の取得率向上の話など、社長もわかっているはずですが、話をそらそうとします。
 
 我々も単純に大企業の仕組みを取り入れろとは言っていませんし、
 我々も長い付き合いの中でその会社の実情は知った上で、この点は
 法令違反で絶対ダメ、しかしこう改善すれば、従業員さんも納得し
 ますよ、と提案しているんです。

  我々もその会社に潰れてほしくない、従業員さんのことも長い付き合いで知っているから手助けしたい。
 でもなかなか通じないんですよね。
 
 オーナー社長の意地、プライド、何がそうさせているんでしょうか?
 
4.人材不足の例
 数年前、募集しても若い20代が応募してくれない、と嘆いていました。
 しかし、雇わないと仕事が廻らない。
 そう言われたため、採用グループの責任者と私で話、採用グループは関係の人材紹介会社に話をするなどいろいろ情報を集めました。

  その上で、小規模企業の人材不足の相談には、50代でも60代でも
 ベテランを採用すること。50代なら高いかもしれない、でも
 採用すること。と提案しました。
  その意図は、①経験豊富のため任せられる、②60代なら賃金も
 抑えられる、という点です。
  この提案を実施した他の小規模社長は、結果として社長自身の
 仕事の負担が減ったと言っていました。確かに賃金は高いですが、
 その分野は全面的に任せられるからです、と言っていました。
 
  この提案を聞き流した残念な社長は、次のような負のスパイラルに陥っています。
  つまり、20代なら何でもいいとして、未経験OKとしてしまったのです。人材育成をできる企業体力もないのに、未経験OKとして
 しまった。

  その子は、誰も仕事を教えてくれない、ネットで調べて不安の中
 仕事を進め、毎日のようにミスが発覚して、やり直しばかり
  社長も彼の仕事をチェックしますが、教育する時間がないので
 修正指示だけ。挙句の果ては、ネット情報で見よう見まねで契約書を作り社長が内容の詳細をチェックをせずに相手と押印したため、
 大変なことになったようです。

  もう、20代の彼は、開き直っているとのことで、俺のせいじゃない、と言い訳三昧になっているそうです。

  こんなミスが続き、社長自身がミスの取返しに走りまくり、20代の彼はわからないまま、いまだに仕事を進めてるので、そこら中でミスが起き、
挽回するための仕事が増え、従業員総出で修正につぐ修正。
 
 残業代が増え、利益率は下がりっぱなし。ボーナスもとうとう雀の涙ほどになったと、他の従業員が教えてくれました。
 
5.残念です
 全責任は私にある、というのはわかります。
 でも、必死に働いている従業員が迷惑しています。
 今損している月ごとの金額を加味すれば、相当高額な賃金を提示してベテラン2人以上採用できる状態になってます
 
  大損しているのに改めない。
 
 また、新たに20代の未経験者をミスの手直しで増えた仕事をさせるため募集するそうです。
 他の従業員がもうボーナスが出なくなると言って、辞めたいと
 言ってました。
  確かに、利益が下がって人件費を抑えたいのでしょうが、その元の原因を潰さないと同じ事の繰り返しですよ、とっても聞き入れて
 くれません。

 誰が、あの社長の暴走を止められるのか、心配です。
 
6.未払い残業代の例
 もう取引を停止した、小規模企業の話です。
 後からその会社の従業員の話を聞いたら、社長のやりたい放題でした。
 お前たちの仕事が遅いから残業となる、とか、早くやれ、とか、
 パワハラ発言のオンパレードだったみたいです。
 年齢の言った社長でしたので、昭和の根性論で乗り切れると思ったのか、残念な発言です。
 
 一例をあげると、
  よくある「仕事のブラックボックス

 営業担当が辞めて、新たに採用した営業担当者が、引き継ぎ書や、
 業務マニュアルも無く、かつ、ノートPCを会社が貸与しないせいで
 前任者が自分で買って使っていたということで、データも社内にない。
 いちいち連絡して、データを送ってもらっているそうです。
 
 まさに、無駄のオンパレード。
 
 なんで引継書や業務マニュアルを作らないのか?
 と社長に聞くと
 いつもの言い訳「うちは零細企業だから・・・」。
 
 いやいや、零細だろうが大企業だろうが、引継書や業務マニュアルはいるでしょ。
 いつ大病で休むかわからないし、有給どうやって取らせるの?
 いつ辞めるかわからないし、、、、、。

 こう言うと、
 マニュアルなど作る時間も労働時間だよね、
 と返ってくる。
 
 当たり前です!会社の財産になるんですから。
 
 こんなことを従業員が辞めるたびに繰り返し、人件費の無駄を垂れ流し顧客に迷惑を掛ける社長でした。
 
 なんで重要なことが理解できないのか。この人件費の無駄を省けば、残業代払えますよね。
 
 結局、従業員に労基署へ通報され、勧告を受けたようです。

 それでも、2重帳簿をやるとかやらないとか、まだ言ってるそうで
 無茶苦茶です。
 そんなブラック企業に、まともな人は応募しませんよ。

7.経営資源の「人・もの・金」
 この点で、私は人事部ですので「人」について書きますが、
 別の記事でも書きましたが、小規模企業の多くの社長は、人事担当に「給与計算、勤怠管理」などとともに総務の備品発注など「作業」をさせているそうです。
  この点、小規模だろうが大企業だろうが、経営資源の「人」を担う組織が「作業」とは、違うと思いますよ。と幾度となく意見させて
 頂いております。

  小規模企業の社長のほとんどは、「もの」つまり、営業を熱心に
 されているので、「人」「金」に手が回らない。
  「金」は、顧問の税理士に、「人」は顧問の社労士に任せている
 という方が多いですが、それは法的手続きですよね、と返します。
 
  財務戦略も「社内の」実情を知っている経験豊富な経理担当が
 作成し実施しないと、小規模企業は資金繰りに苦労します
 (「社内の」が重要で顧問の税理士にも言えないことが、社長には
   あるようなので、、、)
  実際、経理担当という名のもと、帳簿の入力や小口管理だけの
 「作業だけ経理」はよく聞きます。
  作業は、税理士などがやってくれますよ。

  社長が資金繰りに走り回らなくても、経験豊富な経理を置けば
 事業計画書を作ったりして、手配してくれますよ。
 
 人事も同じです。「人事戦略」を社内の実情を知っている経験豊富
 な人事担当が作成し実施しないと少人数で最大の効果は望めません。

  私がある取引先にお邪魔した時も、休憩中?というような状態で
 した。作業をさせているから、作業がない月中などは暇!という
 従業員の勝手な解釈がまかり通っているんです。
  社長も営業でいないし、そろそろ3時だしお菓子パーティでも
 しようか、という状態で、机にお菓子がひろがってました。
 
  これは従業員が悪いのではなく、役割を作業が主ではないと理解
 させていない社長の責任だと思い、この点も意見しました。
 
  「作業は仕事の付属、自分の仕事の範囲で会社がどうしたら
 良くなるか、人事なら働き方改革に対応して就業規則の改定、
 勤怠の仕組みの見直し、法令解釈、有給取得を推進するための
 社内の仕組みの構築、関係法令の社内研修の企画と実施など、
 社労士の先生と打ち合わせをして企画し実施するのがあなたの
 仕事です」というのを理解させ、「作業が大変なら、社労士の
 顧問料を上げてでも作業を外にやってもらいなさい」と教育して
 いかないと従業員が遊んでいますよ。
 
  私なんかも若いころすぐ終わると思ってPCに向かってポチポチ
 してたら、上司に
 「作業ならパートさん、アルバイトさんにやってもらいなさい」
 と注意されてました。正社員は作業をするな、を徹底しようという
 会社の方針からでした。
 
 これを言うと、じゃ正社員は何をするんですか?という質問を
 受けることがありますが、これ以上書きません。
 ただただ残念です。
 
8.小規模企業の残念な社長
 他にもいろいろエピソードはありますが、得てして言いたいのは、
 大企業は会社を良くするために他社より良い仕組みを取り入れようを日々研究・調査していて、それが仕事の根幹と指導されている
 点です。
 それが仕事と思ってますから。人事なら法案を知るため、国会議員に問い合わせたり、厚生労働省に問い合わせたり、しています。
 そして御縁あって法案など調べたりする時間的余裕がない社長に
 お伝えしているんです。
  また、社長に対応する時間的余裕がないのならベテランの人事担当を採用して欲しい。上記のような情報は流してあげますよ。
 お互い長い付き合いですから。
 
  それを、面倒くさいなー、という雰囲気を出されるとこちらも
 残念でなりません。いずれ経済紙でも取り上げられ、特集される
 ような重要な情報を早めに出しているのに・・・。
 
 「零細企業だから・・・という理由で、法律は免除してくれんせんよ。
 「会社は、・・・」「企業は、・・・」という書き出しですから」
 また「社長であるあなたの勝手な解釈は、世の中まかり通りませんよ」
 まるで「私の解釈で何とかなる」ような、そんなこと絶対ありません。
 法律は、平等ですよ。
 
 上っ面ではなく、もっと深く考えれば、従業員が喜ぶ会社に
 なるはずです。姑息な抜け道を探そうとしても従業員は見ています
 良い人材がまた辞めますよ。