1.はじめに
大学3年生の皆さん。
就職活動の準備は、順調ですか?
今回は、田舎にある とあるメーカーの人事部管理職が、「企業研究」について書きたいと思います。
書類選考を突破し、人となりの確認が主の1次面接を突破しても、2次面接で「企業研究」が的を外しているためにそこで終了の方がいます。
そこで、どのレベルの質問をわが社でしているのかを書いておきます。
わが社は、従業員数千名を要する田舎の世界メーカーです。
大卒は、ほとんどが理系で、文系は旧帝卒や早慶卒が中心です。
しかし、ここ10年ほどの「人格重視」の採用で、他大学の割合も増えてきています。
あなたの「人となり」を上手にアピールしましょう。
2.メーカーの企業研究
よくあるのが業界本と言われるものを読み、企業のホームページを調査する方です。
しかし、それだけでは弊社には通りません。
本気で弊社に入社したいこの地域の出身者で、大学進学で東京など大都市に行った方々が戻ってくるからです。(つまり、地元の人脈活かして情報を集めています)
とある学生の例です。
大学は皆さんも知っている一流大学です。
しかし、弊社を1番に希望していないのか、メーカー志望でないのか知りませんが、話している内容が昭和時代のメーカーの話でした。
「大量生産時代のメーカー」の話をもとにしていると思われます。
現在は、「多品種少量生産」です。
3.企業研究で使う市販本は遅れている可能性が高い
書籍の出版には、現場調査、執筆、編集、印刷、出版と長い時間がかかっています。
また、執筆者がメーカー出身者でなければ、書いてある内容が曖昧です。
そのような基礎知識で「大卒」が面接に来ても、面接官の質問に的確に応えられませんよ。
弊社が「第一志望」の方は、大学の卒業生など人脈を駆使して、弊社の直近の情報を取りに来ます。
面接官をがっかりさせた問答です。
学生の基礎知識は、メーカーが大量に商品Aを生産して、運送会社がそれを運び、小売店が売りさばくとの内容でした。
現在は、そんなことしません。
発想が逆です。
小売店の販売データが、弊社の営業部に送られてきます。取引先にもよりますが、大体1時間単位で個数がまとめられて送られてきます。
商店Xは、商品Aが○○〇個、商品Bは、△個、商品Cは、××個・・・。
Y社は、商品Aが〇個、商品Bは、△△個、商品Cは、×個・・・。
そして、時間単位で集計され、明日の生産ライン計画が、生産管理部で作成されます。
翌朝、課長・係長が画面で確認し、調達部が資材をラインインします。
運送会社と物流部で大型トラックの調整をして、台数に応じて同じ商品をラインアウトしていきます。
つまり、10tトラック5台分を商品A、3台分を商品B、1台分を商品C・・・・など分けて載せます。
2巡目も同様に、生産計画に沿ってラインは少しづつ生産していきます。
そうすれば、川下の配送センターでは、倉庫を持つことをしないで、小分けして小売店に配送できます。
大量生産していれば、配送センターか運送会社が「倉庫」を持つことになり、数日に分けて倉庫から出荷することになります。
倉庫を持てば、敷地代・施設代・人件費・光熱費・・・とお金がかかり、それが運賃にのり最終の商品単価が高くなってしまいます。
だから、工場で出す量・生産量、つまり生産ロットを小さくして、多くの種類の商品を出していくのです。
これが、「多品種少量生産」です。
4.多品種少量生産について
多くの商品を少しづつ作るためには、段替えの技術が要ります。
商品ごとにラインを作っていては、メーカーに設備費がかかり商品の値段が高くつきます。
そのため、一つのラインで何種類もの商品が作れるように、オーダーメイドのラインが作られます。
朝9時から2時間で商品Aを作り、15分で段替えし、11時15分から商品C。
昼食を挟んで(昼食時間に保全係などが段替え作業)、昼から商品B・・・。などと
1ラインで数種類作ります。
ラインインとラインアウトは、センサーや監視カメラで管理され、個数が正しく出ているか、ムダは無いかを生産管理部が監視しています。
資材の投入も、ラインサイドにつける部品などもすべて通信設備で管理されているので、ミスや不良品が出ればラインは停止します。
メーカーの研究が甘すぎると、面接時に「大量生産」のイメージで話をするので、気を付けて下さい。
今のメーカーは、小売りと通信が繋がっていて、ムダなものは作らないようにしています。
また、必要数しか作らないようにして、倉庫など無駄なコストを発生させないようにしています。
5.人的経営資本について
最近、セミナーで聞いた「人的資本経営」。
新しい言葉に聞こえますが、メーカーは昔から「人的資本経営」です。
面接の際に、間違えても「この点が新しい」と意見を言わないように気を付けて下さい。
メーカーには、「ものつくりは人つくり」という言葉があります。
古くは、「職人の世界」と言われていますから、この言葉が昔からあり、まともなメーカーは「従業員教育」に力を入れています。
多額の予算が、毎年人事部教育グループに投入されています。教育棟、施設が本社や各工場に整備されています。
従業員は、毎年最低一度は、(出勤扱い)で1日研修を受けます。人事評価の優秀者は、1泊2日や2泊3日で研修し、さらにレベルアップしてもらいます。
従業員を教育すると双方にメリットがあります。
以下、研修アンケートより。
より多くの仕事ができるようになる、研修も出勤扱い、他部署の人と繋がれる、効率的に仕事ができるようになるなどです。
会社側としても、長年勤務してもらえば多くの種類の仕事をしてもらえるようになり、また高品質かつ効率的な仕事が行えるようになる。
そのおかげで従業員が研修の成果を職場で発揮すれば、人事評価も上がるので昇給や賞与で反映でき、従業員の満足度も上がる。
私のような本社勤務者は、東京などへ出張して、セミナーや研修を受けに行きます。つまり、外部研修です。
そこで、他社の方と知り合い、情報のやり取りをして刺激を受けて、さらにレベルアップしていきます。
6.まとめ
企業面接で聞かれることは、多種多様です。
しかし、マニュアル本に書いてあることは、人事部も把握済みです。
市販されている以上、人事も買って読んでいます。
また、ネット情報は「嘘」「間違い」が多いので、その情報を信じて発言すると「企業研究不足」と判断されますよ。
正確な情報を、その企業へ就職した大学卒業生や直接企業に問い合わせるなどして仕入れましょう。
「だろう」で仕事をするような方と、一緒に仕事はしたくないですから。
また、「弊社が第一志望ではない」と悟られる程度の企業研究なら面接を遠慮していただきたいですね。
お互い時間とコストの無駄ですから。
逆に、第一志望の企業研究は、徹底的にしておきましょう。
「どうせ入社するんだから」ぐらいの大きな気持ちでやっておきましょう。
弊社のとある第一志望者は、地元の実家に帰って毎朝出勤して(構内には入れませんが)、施設の外から眺めていたようです。
何時から、資材がどこに搬入され、商品が何時ごろどこのゲートから出て行き、・・・・と10日ぐらい調査していたようです。
そこまで入りたいのなら、ということで「内定」を出したようです。もちろん応募者の中でも成績優秀者でしたが・・・。
本気で入社したい方は、ここまでしています。
新型コロナが第8波です。就活をする皆さん、体調管理に注意して下さいね。皆さんの希望が叶うことを願っております。